これまで介護の分野では高齢者へのサービスを行っている特性もあり、紙ベースの介護記録や訪問記録が主体になっていました。しかし、2017年に厚生省がICTインフラ整備の指標を作成したことで、ICT(情報通信技術)によるインターネットや通信機器を活用したさまざまなサービスが提供されるようになっています。ICTを導入することにより介護業務を効率化させるだけでなく、システムのサポートにより同一の品質を保った業務を維持することが可能になります。

例えば、訪問介護の場合は、利用者宅の介護記録や介護事業者への報告書などを手書きで作成することが多く、介護事業者も介護者の報告書類を元に訪問記録をまとめたり、請求書類を作成したりする必要があるため2重・3重の手作業が発生していました。ICTを導入することでスマートフォンやタブレットなどのデバイスを使用し簡単に介護記録が作成できるだけでなく、介護者が入力したデータをそのまま使用し介護事業者が訪問記録や請求書類を自動的に作成することが可能です。介護事業者の業務をシステムで補填することで、介護従事者の働き方改革に繋がるだけでなく、不足している介護従事者の業務リソースをICTでカバーすることができます。

しかし、ICTの導入は初期コストや維持コストがかかるだけでなく、高齢の介護者がシステムの操作に慣れるまでに時間がかかることがあるため、業務効率を向上させるレベルのICTの導入にはまだまだ多くの課題も残っています。介護現場のICT導入に関する参考サイトにも、このような現状に触れているのでぜひチェックしておきましょう。